2014年8月29日金曜日

『Let It Go』吹き替え論争【3】

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多くの人達が掲示板でブログでtwitterで感じたと報告している違和感。
それとおおよそ同じものを、私も『ありのままで』を最初に聴いた時に感じていた。

ざっくり言うと「こんなに明るい曲だっただろうか」という違和感である。

私は英語が決して得意というわけではないため、日本語字幕歌詞を信じきって観ていた。
『ありのままで』を最初に聴いた時、『Let It Go』の字幕は予告と本編で既に2回読んでいたわけだが、それらの印象とはあまりにも違いすぎていたのだ。


『ありのままで』は直訳ではない


ここに、それぞれの歌詞を並べてみる。

『Let It Go』
         英語歌詞

The snow glows white
on the mountain tonight
Not a footprint
to be seen
A kingdom of isolation
And it looks like
I’m the Queen

The wind is howling
like this swirling storm
inside
Couldn’t keep it in,
heaven knows I tried

Don’t let them in,
don’t let them see
Be the good girl
you always have to be
Conceal, don’t feel,
don’t let them know
Well, now they know

Let it go,let it go
Can’t hold
it back anymore
Let it go,let it go
Turn away and
slam the door

I don’t care
What they’re going to say
Let the storm rage on,
The cold never
bothered me anyway


It’s funny
how some distance
Makes everything
seem small
And the fears that
once controlled me
Can’t get to me at all

It’s time to see
what I can do
To test the limits
and break through
No right, no wrong,
no rules for me
I’m free

Let it go,let it go
I am one with
the wind and sky
Let it go,let it go
You’ll never see me cry

Here I stand
And here I’ll stay
Let the storm rage on


My power flurries through
the air into the ground
My soul is spiraling
in frozen fractals all around
And one thought
crystallizes like an icy blast
I’m never going back,
The past is in the past

Let it go,let it go
And I’ll rise like
the break of dawn
Let it go,let it go
That perfect girl is gone

Here I stand
In the light of day
Let the storm rage on
The cold never
bothered me anyway
『Let It Go』
         字幕歌詞

雪が山を覆う夜

足跡ひとつ残らない

隔絶された王国

私はその女王

風がうなる 心の嵐のように


私の苦しみを
神だけが知っている

秘密を悟られないで

いつも素直な娘で

感情を抑えて
隠さなければ
でも知られてしまった

これでいいの かまわない
もう何も隠せない

これでいいの かまわない
過去に扉を閉ざすのよ


もう気にしない
何を言われようとも
嵐よ吹き荒れるがいい
寒さなど平気よ



遠くから眺めると

全てが砂粒みたい

恐れは遠く去り

もう私を苦しめない

恐れることなく

未知へと突き進む

善悪やルールに縛られずに

私は自由よ

これでいいの かまわない
風と空は私のもの

これでいいの かまわない
二度と涙は流さない

自分の道を行く
ここが私の王国
嵐よ吹き荒れるがいい


私のパワーが
大気と地に満ちる
氷の図形のように
私の魂が広がる
結晶となって
想いが形づくられる
二度と戻らない
過去は過ぎたこと

これでいいの かまわない
新しい夜明け

これでいいの かまわない
理想の娘はもういない

自分の道を行く
輝く光を受けて
嵐よ吹き荒れるがいい
寒さなど平気よ

『ありのままで』
      吹き替え歌詞

降り始めた雪は

足跡消して

真っ白な世界に

ひとりのわたし

風が心にささやくの


このままじゃ
ダメなんだと

とまどい 傷つき

誰にも 打ち明けずに

悩んでた それももう

やめよう

ありのままの
姿見せるのよ

ありのままの
自分になるの


何も怖くない

風よ吹け
少しも寒くないわ



悩んでたことが

うそみたいね

だってもう自由よ

なんでもできる

どこまでやれるか

自分を試したいの

そうよ変わるのよ

わたし

ありのままで
空へ風に乗って

ありのままで
飛び出してみるの

二度と 涙は流さないわ




冷たく大地を包み込み

高く舞い上がる
想い描いて

花咲く氷の結晶のように
輝いていたい
もう決めたの

これでいいの
自分を好きになって

これでいいの
自分信じて

光あびながら
歩きだそう

少しも寒くないわ


先ず、留意しておきたい点として、日本語吹き替え歌詞である『ありのままで』は、リップシンクを前提につけられた詩であるということだ。

リップシンクとは、簡単に言うと口の動きとセリフをあわせる技術である。
英語を話す前提でつけられたエルサの口の動きにあわせて、今度は日本語の歌詞を作ったのである。そのおかげで、吹き替えにありがちな口の動きと発音がごっちゃになっているという違和感をとても感じづらい。
――特に語尾を伸ばして歌う部分の母音に関しては英語と日本語でかなり一致している。が、当然エルサの顔のアップが映らないシーンではリップシンクを意識する必要が薄いためその限りではない。

そして、日本語と英語の音節構造がかなり異なっているため、上記リップシンクを意識すると伝えられる情報量がかなり限られてしまう。当然、直訳的な歌詞は付けられない。

『ありのままで』はこれらの縛りが設けられた状態で訳された歌詞なので英語歌詞に対する正確性は薄れてしまう。そういった理由をないがしろにして翻訳ミスだと断言することはできないし、してはならない。

日本語訳の裏にあるこういった工夫も意識しつつ、違和感の正体を紐解いていこう。


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