2014年8月27日水曜日

近年のアニメにおけるOPEDの構成/演出手法【1】

アニメを観る時の一つの楽しみとして、忘れてはならないのがOP(オープニング)とED(エンディング)だ。アニメの雰囲気を象徴する役割を大きく担うため、そのアニメの看板として制作サイドも力を注ぐことが多い。

日本のテレビ放送で放映されている番組は、原則として30分の枠を1単位として作られており、テレビアニメも例外ではない。ほぼ例外なく30分間、その内CMの時間を除外するとおよそ24分間で1話が構成されている。
近年、アニメの需要は伸び、多様化する中で脚本・演出・作画など様々な工夫が凝らされているが、その中でも24分という限られた時間の中でのOPEDが担う役割は多様化している。

この項では取っ付き易い内容としてこのOPEDの構成的な演出に着目してみる。



アニメの基本構成の説明及び考察

近年のアニメは下図のような構成がスタンダードである。色のついた部分が計約24分間である。



先ずは各パートについての簡単な説明をする。

アバンタイトルとはOPの前に流れるプロローグのようなものである。特撮作品が起源とされているが、2000年以降からアニメにも頻繁に取り入れられるようになった。
しかしこれは必ずしも必要という訳ではなく、OPから始まる作品も未だ数多く存在する。
またその逆に、EDの後にエピローグを挟む(通称Cパート/エピローグブリッジ)作品もあるが、EDが流れると見るのをやめてしまう視聴者が多いため、アバンタイトルほどメジャーな手法ではない。

OP・EDはそれぞれほぼ全ての作品において1分30秒で構成されており、テーマソングで視聴者のテンションをコントロールするとともにクレジットが表示される。
OPでは監督や脚本などの制作サイドがクレジットされるが、EDでは主に声優などの役者サイドがクレジットされる。これは、OPで声優がクレジットされてしまうとキャラクターの登場の有無がネタバレとなる危険があるからという理由も含まれているように思えてしまう。
――アニメに見慣れてくると、本編に出ていない登場キャラの声優がEDでクレジットされると、そこからCパートの存在を予想することができる。しかし期待していると、次回予告だけ喋るキャラだったという事もよくある話である。

サブタイトルはいわゆる『~の巻』などで認知される、その一話固有の主題である。
サザエさんのように短編集の形式をとるものは一週放送分にサブタイトルが複数ある場合もある。
また、まれにOP前やBパート後(すなわち最後)にサブタイトルを表示するものもある。

Aパート・Bパートとはまさしく本編のことであり、CMの前後により区別される。CMに入る前とCMが終わった後にはアイキャッチが入ることも多い。これは放送局によってCMを導入するタイミングに差異が生じてしまうのを防ぐ為である。
――映画などのロードジョーでは、放送局が各自でCMを導入する場所を考えるため、また制作側もCMの導入を考慮していないために不自然な位置にCMが入ってしまうことが多々ある。
また、ドラえもんのように二話構成でAパートとBパートが別の話になる場合は、Bパート前のアイキャッチの代わりにもう一度サブタイトルが入る場合もある。
――さらに突っ込むと、録画機能が現代のように充実していなかったVHS時代は、CMを録画しないためにCMに入る度に録画/録画一時停止ボタンを押していた。
CMが終わり再び録画ボタンを押すことになる瞬間、綺麗に録画するためにはそれ相応の反射神経が求められることになり、それを緩和するためにもアイキャッチは重要な役割を果たしていたと言えるだろう。

そしてED後、CMを挟んで次回予告である。
ここでもサザエさんの例を挙げるが、次回予告にじゃんけんという付加価値をつけて最後まで視聴する人の数を増やし、結果挟まれたCMの視聴率も上がるというスポンサーへの配慮もなされている。

以上がある程度標準化、一般化されてきたアニメ一話内における構成である。
しかし近年制作されたアニメには、この構成を敢えて崩す演出をする作品が増加傾向にある。
次回以降ではそうした構成的な演出をされている作品を紹介し、次回以降でその意図や効果を研究する。


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