2014年9月12日金曜日

アニメ制作における3D表現は、 作画による2D表現の代替になりうるのか【1】

日本を代表する産業のひとつに、アニメがある。
――このブログを開設するに至った所以であり、今さらではあるが。

一時期はジャパニメーションなどと呼称され、我が国の専売特許と云うに相応しいコンテンツであった。しかしそういった図式は現在、崩れつつあるのだ。

このブログを続けるにあたって、この研究は避けては通れない。
私なりの答えをこの場で提示させてもらう。


3D技術によるアニメの台頭

ジャパニメーションを脅かすのは、日本のアニメーターが育て上げてきたセルアニメのノウハウ、すなわち作画による2D表現にとって代わる技法の台頭である。
それは3Dモデルをレンダリングするという全く新しい手法である。
画の整合性、普遍性、そして制作過程の省力化と多くの面で、3DCGによるアニメ制作はそれまでのアニメより優れていた。

1995年の『トイ・ストーリー』以降、アニメにおける3D技術は向上の一途を辿っており、海外ではすでにフル3Dがアニメの主流になっている。
日本でもフル3Dアニメが制作されるようになってきたが、未だ海外の質に及んでいるとは言い難い。日本はこれまでのアニメを牽引してきた者として、3Dアニメという土俵でも他国に負けないコンテンツを提供し続けていくべきなのであろうか。


日本が手塚治虫の時代から磨き上げてきたのは、ペンを走らせセルを重ねるコマ撮り的な2Dのアニメ技法である。
その表現はアナログという環境の中で洗練され、3Dではかえって表現し難い味を多く獲得してきた。そうした2Dアニメは、映像コンテンツとして決して3Dアニメに劣らないと判断するに値し得るだろう。



本項では、3Dモデリングによるアニメは、2D作画の上位互換としてアニメ制作技術の延長線上に位置づけうるのか、それぞれの利点欠点を提示、比較する。

後に、3Dと2D両方の技術が使われているアニメや、2D表現に似せようとして工夫された3Dアニメのサンプルを調査し、それらの表現技法を取捨選択した監督の意図を紐解く。これによりそれぞれの技術や環境に適した表現を模索することにより、今の日本アニメがどう在るのかを研究、これからの在り方について考察する。


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